August 4 2024
「小石原焼」とは? 特徴や魅力、窯元や陶器市情報
小石原焼の起源と歴史的変遷
小石原焼は江戸時代から続く伝統的な陶芸で、その歴史は古く、始まりは1669年に小石原地区の中野で陶土を見つけた初代高取八蔵の孫、八之丞が窯を開き、初期は中野焼とも呼ばれました。その後、黒田藩の影響を受け、磁器の製法なども導入され、独自の焼物が形成されました。
1930年代から民藝運動の影響で小石原焼の認知度が広まり、訪れる人々が増え、窯元も増加しました。バーナード・リーチや柳宗悦、濱田庄司らが小石原村を訪れ、小石原焼を「用の美の極地」と賞賛したことが大きく影響しています。この時期には今も使われる様々な技法が用いられ、茶道具などの作品が生み出されました。
1958年には万国博覧会で最高賞を受賞し、1975年には伝統的工芸品に指定されました。現在、小石原焼は50以上の窯元が存在し、伝統技法を守りながら多くの食卓で使われています。
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小石原焼の魅力
小石原焼は土っぽい素朴な風合いを持ち、日常の使い勝手が良いシンプルな作風が多いため、使い込むほどに独特の味わいが生まれてきます。その実用性と美しさが調和し、食卓や生活空間を豊かに彩ります。小石原焼は多くの人々に愛され、その魅力は時代を超えて続いています。
小石原焼と小鹿田焼の違い
技法や見た目がとても似ている小石原焼と小鹿田焼。実は兄弟なのです。
土の色合い:
小鹿田焼に使用される土は、小石原焼の土よりも黒みがあるとされています。この違いが焼かれた器の外観に影響を与えています。
発祥時期:
江戸時代に最初に誕生したのは小石原焼で、その後に派生して生まれたのが小鹿田焼です。小鹿田焼は小石原焼の特徴を受け継いでいます。
幾何学模様:
どちらの焼き物も幾何学模様が特徴的ですが、小鹿田焼においては焼き面に施される幾何学模様が特に際立って見えると言われています。これは土の違いによるものかもしれません。
国際的な認知:
国際的に有名になったのは小鹿田焼です。民藝運動を広めた柳宗悦によって小鹿田焼が紹介されました。その後、小石原焼も注目されるようになり、両者とも海外で知られるようになりました。
これらの違いによって、小石原焼と小鹿田焼は独自の個性を持ちながらも、日本の伝統的な焼き物として共通の歴史や美学を共有しています。
小石原焼の技法
飛び鉋(とびかんな):
化粧土をかけた器をろくろにのせ、湾曲したかんなを回転させながら作品の表面に当て、削り目を入れて模様を形成します。
刷毛目(はけめ):
化粧土をかけた直後にろくろを回転させながら刷毛を使い、線や模様をつける技法です。刷毛の使い方によって幅や太さが変わります。
櫛目(くしめ):
化粧土をかけた直後に櫛状の道具を使って波状の模様をつける技法です。
流し掛け(ながしかけ):
ゆっくりとろくろを回転させながら、釉薬などを作品の表面に等間隔で流して装飾的な模様を形成します。
打掛け(うちかけ):
成形した作品に釉薬を少しずつ盃などから浴びせ掛けて装飾します。釉薬のかけ方によって模様が変化します。
指描(ゆびかき)
化粧土をかけた状態で乾かないうちに、ろくろを回転させながら指で模様を描きます。指先の感覚を使って個性的な模様が作られます。
小石原焼の代表的な窯元
東峰村には小石原焼と高取焼を合わせて50を超える窯元が存在しています。これらの窯元は約350年にわたり、独自の技術と伝統を守りながら、それぞれ異なるスタイルの陶器を生み出しています。
翁明窯元
鬼丸翁明さんと息子の尚幸さんの親子2代で作陶されています。彼らの作品は、伝統的な模様に可愛らしい水玉模様(ドット)をプラスしたデザインが特徴的です。粗めの砂の質感を持つ荒土のうつわも人気を集めています。
まるた窯元
太田剛速さんとその息子が親子2代で作陶しており、伝統と革新を両立させながら、小石原焼の魅力を広めています。特に「スリップウェア」などの新しい試みが注目されており、その独創性と情熱が窯元の魅力を高めています。国内外で高い評価を受け、小石原焼の伝統を尊重しながらも、モダンで個性的なうつわを提供しています。
森山寛山窯
小石原焼の伝統技法を尊重しながら、独自の美しい陶器を生み出す窯元です。伝統的な技法を使い、独特の模様を施した作品が特徴です。現代の生活に合った小石原焼の食器を作りながら、自然の風合いも大切にしています。土から形を作り、単窯(薪窯)で焼成することで、作品に自然の味わいを感じられます。展示場には多彩な陶器が並び、アートのような美しさが魅力です。
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小石原焼きの陶器市-「民陶むら祭」
「民陶むら祭」は小石原地区で行われる年2回の大規模な陶器祭りであり、春と秋に開催されています。この祭りは小石原焼や高取焼など約50の窯元が一斉に窯開きを行い、新作の陶器を通常価格の2割引きで販売するイベントです。全国から多くの陶器ファンが訪れ、村内の窯元で作られる陶器を見て選ぶことができます。
まとめ
日常使いの器としての魅力に溢れた小石原焼。昔ながらのオーソドックスな柄も、今の食卓で使うとおしゃれに見えます。また、最近の技法で作られたものも違った魅力があります。価格も手頃なものが多いので、ぜひ使ってみてはいかがでしょう。
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