Anthony Lee - Apr 2 2026
炎が描く「予州ブルー」:バチカンを魅了した砥部焼の奇跡

土と炎の限界に挑み続ける
世界で最も権威ある美術館の一つ、バチカン美術館。そこに、一人の日本人陶芸家の作品が収蔵されていることをご存知でしょうか。愛媛県・砥部(とべ)。240年以上の歴史を持ち、堅牢な白磁で知られるこの地で、竹西予州(たけにし よしゅう)氏は、伝統の枠を超え、土と炎の限界に挑み続けています。彼の作品が国境や宗教を超えて人々の心を打つ理由は、磁器の聖地で「土」の生命力を引き出す、圧倒的な表現力にあります。
砥部の土に宿る、未知の美しさを求めて

通常、砥部焼といえば、白く滑らかな肌に藍色の絵付けが施された「磁器」を思い浮かべます。しかし、竹西予州氏のアプローチは全く異なります。彼は砥部の陶石(磁器の原料)や土そのものが持つ潜在的な力を信じ、釉薬(うわぐすり)に頼らず、窯の中の炎と灰が織りなす「自然の力」で器を焼き上げます。バチカン美術館がその作品を受け入れたのは、この「作為を捨て、自然のエネルギーを形にする」という日本独自の精神性が、普遍的な美として認められたからに他なりません。
神秘の色彩「予州青(よしゅうあお)」

予州氏の作品を語る上で欠かせないのが、その独特の青みがかった色彩です。これは、窯の中の酸素濃度や温度のわずかな変化によって生まれる「発色」の奇跡です。
宇宙の深淵: 深い藍色や銀色に近いグレーが混ざり合い、まるで銀河を閉じ込めたような奥行き。
唯一無二の模様: 炎の通り道によって一つひとつ異なる紋様が刻まれ、二つとして同じ作品は存在しません。
バチカン美術館がその作品を受け入れたのは、この「自然と人間が共創する」という日本独自の精神性が、普遍的な美として認められたからに他なりません。
日常に、世界最高峰の芸術を

バチカンに納められたものと同じ魂で作られた器を、自分の掌(てのひら)で包み込む。それは、単なる「道具を使う」という行為を超えた、文化的な対話です。
静寂を運ぶ存在感: 予州氏の作品は、そこに置くだけで空間の空気を変える力を持っています。現代のミニマルなインテリアにおいても、その力強い質感は圧倒的な存在感を放ちます。
五感で楽しむ: 焼き締め特有の、わずかにざらりとした土の感触。使い込むほどに人の手の脂を吸い、しっとりとした独特の艶が増していく「育つ」喜びを味わえます。
予州氏の哲学:土の声を聴く

「砥部という伝統ある地で、自分にしかできない表現を」予州氏は、磁器の産地としての矜持を持ちながらも、常に新しい「美」を探求しています。
デジタルな完璧さに囲まれた現代において、私たちはこのような「不均一で、生命力に溢れた美」を求めています。竹西予州氏の作品を手に取ることは、地球のエネルギーと、職人の不屈の精神を所有することに等しいのです。
世界が認めた、日本の至宝をその手に。
バチカンをも虜にした、竹西予州の砥部焼。時代を超えて受け継がれる「炎の記憶」を、あなたの人生のコレクションに加えてみませんか。
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