August 6 2024
「益子焼」とは? 特徴や魅力、窯元や陶器市情報
益子焼の起源と歴史的変遷
益子焼は、栃木県芳賀郡益子町で生まれた伝統的な陶器の一つです。その起源は江戸時代末期に遡り、笠間で修行を積んだ大塚啓三郎が益子に窯を築いたことから始まりました。当初は日用の道具を中心に製作され、粗い質感と厚みのあるデザインが特徴でした。益子の豊富な陶土を活かし、次第に花器や食器などの美術品も作られるようになりました。明治から大正にかけては衰退期もありましたが、関東大震災の影響で復活し、その後も独自の魅力を持ち続けています。
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益子焼の魅力
益子焼の魅力は多岐にわたります。まず、その素朴な風合いが挙げられます。砂気が多く、粗い土の質感が作品に厚みと温かみを与えています。釉薬との相性も良く、特に柿釉や糠白釉、青磁釉などの色合いが美しいです。伝統的な技法を活かしながらも現代的なデザインも取り入れ、豊かな表現力を持つ作品が多く、陶器愛好家の心を掴んでいます。
益子焼の釉薬とその特徴
益子焼の代表的な釉薬は以下の5種類です。これらの釉薬は伝統的な技法として保管され、次世代に引き継がれています。各釉薬の特徴は焼くことによって生まれる色合いや質感などが異なり、益子焼の魅力を一層引き立てています。
柿釉(かきゆう)
- 原料: 芦沼石の粉末
- 特徴: 焼くと渋い茶色になる釉薬です。
糠白釉(ぬかじろうゆう)
- 原料: 籾殻を焼いた灰
- 特徴: 焼くと白色になり、清潔感がある釉薬です。
青磁釉(せいじゆう)
- 原料: 糠白釉に銅を加えて作成
- 特徴: 焼くと深みのある美しい青色になる釉薬で、独特の風合いがあります。
並白釉(なみじろうゆう)
- 原料: 大谷津砂、石灰が主成分
- 特徴: 焼くと透明になる釉薬で、品のある仕上がりを生みます。
本黒釉(ほんぐろゆう)
- 原料: 鉄分を多く含む
- 特徴: 焼くと黒色になり、深みのある風合いを持つ釉薬です。
益子焼の代表的な窯元
よしざわ窯
- 見た目のかわいらしいデザインが魅力で、「レモン皿」などが有名です。
- シンプルなものから、花や鳥、動物、植物をデザインした食器など幅広い作品を販売しています。
- 色合いが鮮やかで、リーズナブルな価格で人気です。
藤太郎窯
- 益子焼の名門で、著名な陶芸家である濱田庄司氏との関わりがあります。
- 4代目の藤也さんが窯元を受け継ぎ、3代目が急逝したことから独学で技術を修得しました。
濱田窯
- 人間国宝である濱田庄司氏の窯元であり、益子焼の歴史と伝統を担っています。
- 柿釉や赤絵など、益子焼に特徴的な釉薬を使用し、祖父の技術を継承しています。
健一窯
- 現在、2代目の雅淑まさよしさんが父の大塚健一氏から技術を学びながら窯元を継承しています。
- 益子の陶土と伝統的な釉薬を使用し、伝統的な手法で作陶しつつ、現代の生活スタイルに合ったデザインを提供しています。
つかもと
- 150年の歴史を持つ老舗の窯元で、栃木の窯工場にレストランやギャラリーがあります。
- 体験工房もあり、作陶を体験したい人に人気です。
- 焼成には薪を用いており、伝統的な焼き物の風合いが楽しめます。
よこやま
- 比較的新しい窯元で、1971年に開窯しました。
- ギャラリーやレストラン、体験工房を備えており、来訪者も作陶を体験できる場所です。
えのきだ窯
- 80年の歴史を持つ老舗の窯元で、5代目の榎田えのきだ若葉さんが活動しています。
- モダンでキュートなデザインが特徴的で、女性からの支持が多いです。
現代の益子焼
現代では、益子焼はシンプルなデザインの食器として多くの人に愛用されています。益子焼窯元共販センターなどで陶芸教室や作品の販売が行われ、伝統の技術が受け継がれています。また、益子焼は観光地としても注目され、多くの人々が訪れています。益子陶器市では作品を直接手に取り、職人との交流を楽しむことができます。
益子焼の陶器市ー益子陶器市
益子陶器市は、益子町で春と秋の年2回開催される大規模なイベントです。約50店舗の販売店と約600のテントが立ち並び、湯呑みやお皿から花器まで様々な陶器が通常の価格より安く販売されます。このイベントでは新進作家や窯元の職人と直接会話を楽しむことができ、陶器についてのエピソードを聞くこともできます。地元産の農産物も販売され、益子町の魅力を存分に味わうことができます。
まとめ
益子焼は栃木県益子町を中心に発展してきた伝統的な陶器であり、その歴史は江戸時代末期から始まります。粗い土の質感や豊かな色合い、独自のデザインなど、益子焼の魅力は多岐にわたります。多くの窯元が存在し、それぞれの個性が作品に反映されています。益子陶器市は益子焼を一堂に集める大イベントであり、多くの人々に愛されています。日常使いにピッタリな益子焼、ぜひ食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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