September 4 2024

「越前焼」とは? 特徴や魅力、窯元や陶器市情報

越前焼の起源と歴史的変遷

日本六大古窯のひとつに数えられている「越前焼」。越前焼は、平安時代末期に誕生しました。元々は須恵器を焼いていた地域でしたが、平安時代末期に常滑の技術を導入して焼き締め陶を作り始めました。最初の窯が築かれたのは、現在の越前陶芸村のある越前町小曽原だったとされています。

初期の越前焼は壺、甕、すり鉢などの台所用具が中心でしたが、宗教的な甕や三筋壺なども生産されました。室町時代後期には北前船によって広く普及し、発展していきました。しかし、明治時代に入ると日本全体が近代化され、甕や壺などの需要が減少しました。越前焼は一貫して雑器を製作し続けたため、衰退の一途をたどりました。

第二次世界大戦後に古窯跡の調査が行われ、越前焼の歴史的価値が再評価され、1970年に越前陶芸村が建設されると窯元が急増し、観光客も訪れて復興を遂げました。

越前焼の魅力

土の柔らかな風合いや温かみ、そして自然釉が生み出す独特の色合いは、使い込むほどに愛着が湧き、味わいが増していきます。また、土の強度があり、水漏れしにくいという実用面でも優れています。

越前焼は釉薬を使わずに焼かれるため、自然の素材が生み出す風合いや質感が楽しめます。そのため、食器としてだけでなく、インテリアとしても愛用されることが多く、日常に温かみと風情を添えてくれます。

越前焼の特徴

耐火性と耐熱性の高さ

越前土には鉄分が多く含まれており、高温で焼いても壊れにくい性質があります。

赤みや黒っぽい色合い

高温で焼くことで越前焼特有の赤みや黒っぽい色合いが現れます。

丈夫で長持ち

焼き固まった粘土は丈夫で長持ちします。日常使う日用品に向いています。

ねじ立て成形

大型の壺などを作る際に用いられる技法で、粘土を円柱状に積み上げる方法です。

灰釉や鉄釉

釉薬を使わずに作られることが多いですが、灰釉や鉄釉で仕上げられた作品もあります。素朴な風合いが特徴です。

越前焼の代表的な窯元

たいら窯

「たいら窯」は、平安時代から伝わる伝統的な焼き物の技法である「輪積」を用いて作られる越前焼の窯元です。輪積とは、ろくろを使わずにひも状にした槌を使って土を積み重ねて器を作る技法で、作業者が器の周りを回りながら土を積み上げ、引き伸ばしていきます。

桝田屋陶房

冬の白山の様な白い自然釉を目指し、昔ながらののぼり窯で薪を使って焼き上げています。

現代の越前焼

現在は、伝統を受け継ぎながらも新しい作品が試みられ、福井県内で活動する作家や窯元によって新しい歴史が築かれています。最近では、越前焼は一般的な日用品だけでなく、ワインカップやコーヒーカップなどの洋食器としても登場しています。和食はもちろんのこと、洋食の場面でも活用しやすい商品が増えています。

越前焼の陶器市ー越前陶芸まつり

越前焼をテーマとした県内最大の陶器市が5月末に開催される「越前陶器まつり」です福井県内の越前焼窯元が一堂に集結し、新作をはじめ数多くの焼き物を購入することができます。陶器市をはじめ、伝統工芸品販売や飲食・バザー、陶芸館茶苑では「さつきあげ茶会」なども楽しめます。

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